緒方貞子さんの言葉『世界へ出ていく若者たちへ』人間は仕事を通して成長していかなければなりません。その鍵となるのは好奇心です。常に問題を求め、積極的に疑問を出していく心と頭が必要なのです。仕事の環境に文句を言う人はたくさんいますが、開かれた頭で何かを求めていく姿勢がなければなりません。 国際機関で働きたいと思っている人だけでなく、日本のあらゆる若い世代に、「何でもみてやろう」「何でもしてやろう」という姿勢を意識的に持ってもらいたいと思います。 日本のように国内の貧富の格差や人種問題が少ない国は、例外的と言っていいのです。もちろん、貧富の格差や人種問題などは少ない方がいいのですが、社会的、政治的問題意識が育ちにくいという意味では不幸なことだといえましょう。とすると、日本人は意識的に世界各地にある厳しい状況に関心を寄せ、身を置く努力をしなければならないのではないでしょうか。 国際社会では言葉はとても大切だということです。しっかりした言語能力がなければ、実のある活動はできません。自分の意思を伝えたり、用を足す手段としてだけに考えず、相手の文化を学ぶ教材だととらえるべきです。さまざまな言い回しに、その言語を生んだ文化がそのまま表れているのです。言語を通して開ける新しい世界、ひとつの文化、別の価値体系との遭遇が、遠い国の人々に対して連帯感を持つことにつながります。 by 緒方貞子 私の仕事 より |